大木レポート


筆者プロフィール
大木昌光(おおき まさみつ)
取締役運用部長兼チーフ・ポートフォリオ・マネジャー

89年日本興業銀行、95年マッキンゼー・アンド・カンパニ 、97年より大手外資系証券、投資運用会社でアナリスト、ファンドマネジャー経験を経て、14年より現職。


仮想通貨リブラとスマホ
【No.0066】
2019.8.14
フェイスブックが、仮想通貨「リブラ」の構想を打ち出し、その是非について、規制当局を含めて世界的に論議が高まっている。日本においては、これまでに発生した仮想通貨のハッキングや、それに伴う仮想通貨取扱業者への規制強化の動きの中で、仮想通貨に対し後ろ向きの姿勢が目立っている。
 ところで、通貨というのは、誰かの負債である。我々が日ごろ目にする通貨は、中央銀行や政府当局の負債であり、その信用度の多寡を捨象すれば、その性質は企業や個人の負債と基本的な違いはない。誰かの負債だから、その発行主体が信用力を失えば、途端に価値が低下する。私たち日本人は、円という国際的にも信用度の高い通貨の下で生活しているので、政府関連以外の主体が発行する負債については、信用度の点でどうしても円より下に見る癖がついている。
 しかし、世界的に見れば、国民が自国通貨を信用できない国は、少なからず存在する。というよりは、国の数で言えば、日本のように自国通貨を信頼している国の方が、少数であろう。もっと言えば、先進国以外の国の負債と、大企業の発行する社債、例えば日立製作所の社債を比較して、給料としてどちらかを選べと言われれば、私なら後者を選ぶ可能性はかなり高いと思う。つまり、国の負債が、企業の負債より、いつも信用力があるとは限らないのだ。
 その中での、リブラの誕生。この意味は、軽視すべきではないように思われる。
 ところで、リブラの大きな特長は、スマホ決済ができる点にあろう。我々日本人は、当たり前のように銀行口座を有するので、スマホ決済の利点をあまり明確に意識できない。しかし、世界的に見れば、銀行口座保有率が、スマホ保有率を有意に下回る国は、少なからず存在する。そうした国の国民は、リブラを使って、入金、出金、送金、購買などを自由に行えるようになる。それが、新たな経済成長の牽引力につながる可能性は十分にあろう。
 2000年代に入って、スマホが一般人にとって不可欠の道具になった。それが、ついに銀行口座の代替にまで駆け上がってきた。銀行株が上がらないのも仕方ないか・・・。

大木 将充


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