大木レポート


筆者プロフィール
大木昌光(おおき まさみつ)
取締役運用部長兼チーフ・ポートフォリオ・マネジャー

89年日本興業銀行、95年マッキンゼー・アンド・カンパニ 、97年より大手外資系証券、投資運用会社でアナリスト、ファンドマネジャー経験を経て、14年より現職。


銀行は、「預金手数料徴収」か「預金へのマイナス金利適用」に動くべき
【No.0072】
2019.10.9
モノを第三者に預ってもらった場合に、預り賃として手数料を払うことは、当たり前のことだ。コインロッカー、倉庫、一時荷物預り所などで、人々は、当たり前のように手数料を払っている。しかし、これが「お金」になると、途端に人々の意識は変わる。
銀行にお金を預ける行為を、一般人からの銀行への貸出と捉えれば、銀行から金利をもらって当然という考えになる。しかし、物事には色々な側面がある。預金を、人々が、命の次くらいに重視していると推測される「お金」を預かってもらっているという側面も、否定できないであろう。
 かつて、某銀行の頭取と話をしたときに、銀行預金の元本保証の機能が、多くの人々の間で軽視されているとのコメントを聞いたことがある。特に、現在のように、マイナス金利が珍しくなくなった時代における「名目預金金利ゼロによる元本保証」という預金特性は、「プラスの実質的預金金利の保証」に他ならない。
 最近では、少なからずのエコノミストが、日銀によるマイナス金利政策やマイナス金利深堀を支持する声を多く聞くが、それが正しい場合には、彼らは理論的には預金金利もマイナスになることも是認すべきと思われる。「銀行が預金手数料を徴収するなどけしからん」という意見は、上記における「預金を銀行に対する貸出」と見る見方に基づくと思うが、その論理的帰結は、世の中の金利がマイナスであることが常態化する中では、預金金利もゼロ%未満になってもよいということになる。
 いやいや、「預金金利のマイナスなど受け入れられない」と主張するなら、それは「預金を銀行に預かってもらっている」という理論構成になるから、その場合には預金手数料を徴収されても文句は言えない。
 いずれにしても、預金者は、マイナス金利の世界では、マイナス金利を甘受するか、預金手数料を払うか、の二者択一を迫られることにならないか?

 銀行の英断が待たれる。

大木 将充


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