大木レポート


筆者プロフィール
大木昌光(おおき まさみつ)
取締役運用部長兼チーフ・ポートフォリオ・マネジャー

89年日本興業銀行、95年マッキンゼー・アンド・カンパニ 、97年より大手外資系証券、投資運用会社でアナリスト、ファンドマネジャー経験を経て、14年より現職。


テールリスクがいつでも起こりうる現代。金融も不動産も。
【No.0074】
2019.11.15
台風19号で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 「テールリスク」という言葉は、金融の世界では常識だが、金融業界以外の人々には耳慣れないと思われる。これは、「滅多に起こらないが、起こった場合には莫大な被害・損害をもたらす恐れのある事象」を指す。こうしたリスクは、従来であれば、ほとんど留意する必要がなかったかもしれないが、現代においては、より注意が必要と思われる。
 最近の金融業界では、リーマンショックの元凶となったサブプライム問題が、一種のテールリスクであった。「相関関係」の数学的計算上は、数百年から数万年に1回しか起こりえない事象が発生したからだ。その後も、様々な金融的ショックが起きているが、その中には数百年に1回程度しか起こりえない事象も少なからずある。つまり、数百年から数億年に1回程度のテールリスクが、しばしば発生しているのだ。
 そのような視点で今回の台風19号の被災状況を見てみると、これも何十年に1回しか起こりえないテールリスクの一種だと思われる。だから、何世代もの間、同じ場所に住んで被災された方々には気の毒と申し上げるしかない。
 しかし、二子玉川や武蔵小杉のような場所での被災については、将来不動産を購入しようとする皆様は、もう少しシビアな観点をもって、重要な研究材料とすべきだと思う。端的に言えば、今回被災した場所はもちろんのこと、市区町村のハザードマップで水害などの被災のリスクが高い地域には、絶対に不動産を購入すべきではないと私は思う。
 ハザードマップで高リスクとされている場所で、実際に被害が生じることは稀だと思うし、もしかしたら生涯の間に一度もそうしたリスクに遭遇することはないかもしれない。しかし、発生したら生活がぶち壊されるのだ。
 今後の不動産の購入については、最寄駅、学区、生活施設、公共機関などの要素を考慮する前段階として、標高、地盤、ハザードマップのチェックを行うべきであろう。その意味では、世の中にごまんとある「不動産の選び方」のようなハウツー本については、1ページ目から、改定されるべきと思われる。

大木 将充


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