大木レポート


筆者プロフィール
大木昌光(おおき まさみつ)
取締役運用部長兼チーフ・ポートフォリオ・マネジャー

89年日本興業銀行、95年マッキンゼー・アンド・カンパニ 、97年より大手外資系証券、投資運用会社でアナリスト、ファンドマネジャー経験を経て、14年より現職。


「日経ヴェリタス」の相場アンケートを見た印象
【No.0082】
2020.1.17
2020年1月5日号の「日経ヴェリタス」誌上に、今年も私の予想を載せて頂きました。関係各所の皆様に心より御礼申し上げます。
市場関係者が示した予想を見た第一印象は、「強気予想が少ない」。私は、日経平均株価の高値として27,000円を予想した。これは、私のアンケート提出時における予想日経平均株価24,000円に対し、約10%強の高い数字にすぎない。2020年度については、多くの市場関係者が、製造業が牽引する形で2019年度比での増益を予想していると推察される。仮に10%増益なら、PERが不変なら株価は10%上昇することになる。私の予想は、結果的には、その程度の前提条件を反映したものであり、客観的に見ても、それほどアグレッシブなものとは思えない。然るに、日経平均株価を予想した68人のうち、27,000円以上の高値を予想した方は13人しかしない。しかも、最も高い人の予想値でも28,000円で、19年末の23,656円に対し18%高い水準に留まる。
仮に、私の印象通り、市場関係者の予想値が控えめだったとして、その理由は枚挙に暇がないことは私も重々承知している。株価に影響を与える代表的要因は、米国大統領選、米中摩擦、中東情勢、米国景気サイクル、中国経済の行方、BREXIT (英国のEU離脱)などであろうが、個別に見ると、どれをとっても、ネガティブな方向に振れれば甚大な影響が発生する深刻なファ クターであり、慎重な見方になることは頷ける。
しかし、ミクロで見れば、5Gを代表格として、AI、IOT、量子コンピューター、東京五輪、インバウンド、国土強靭化など、ポジティ ブな材料が満ち溢れている。稿を改めて述べたいと思うが、最近の世の中の変化の速度はこれまでとは比較にならないほど早く、それが上記のような要因を背景にしていると考えると、投資のネタはいくらでもあり、考えるだけでワクワクするほどだ。
つまり、私には、マクロの不安とミクロのポテンシャルのせめぎあいの合成として生まれる現実株価について、多くの人が、過度にマクロに比重を置いた予想を行っているように思えて仕方がないのだ。本来的に経済予想というものは、グローバルマクロ要因についてどうなるかの予想が極めて困難であることを考えると、そうした要因は一旦中立化して、その他の要因に基づいて構築することが適切であるように私は思う。もちろん、マクロ要因の中で、強い確度をもって予想できるものがあるなら、それを主体にして予想を行うべきである。しかし、私には、上記要因も含めて、マクロの要因の中で、明らかにネガティブな方向に振れると予想できる要因が現段階で一つもない。だから、相対的に強気予想になっているのだと分析できる。逆に、弱気予想の人については、多くのマクロ要因があり、且つ、それら一つ一つについての不安感を合理的に処理できないから、結果として弱気に振れているのだと思われる。その意味で、私と弱気予想の人の感覚には、実は大差がない。しかし、合理性の観点からは、天と地ほどの差があると私は自負している。

大木 将充


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