No.0099

宝くじ売り場の前で長蛇の列を作る愚か者とは結婚しないようにしましょう

小学生の時に、題名を思い出せないが、ある漫画を読んで、子供心ながらにハッとしたフレーズがあった。正確な言い回しは覚えていないが、およその意味としてはこんな感じだった。
「人間は、一秒一秒、死に近づいている」
子供の時に、周りの誰かの死に直面して、もし自分の親が死んだらどうしようという不安に苛まれ、しばらく夜眠れなくなった人は数多くいるであろう。私もそうであった。その誰もが直面しうる経験を経た後に、「自分の死」を意識したのは、その時が初めてであった。その後、大人になった後も、自分が生きる目的を失ったとき、絶望の淵に瀕した時、時間を無益に費やしていると感じたとき、この言葉を思い出し、「時間の大切さ」を噛みしめるようにしてきた。
だから、私は、自分が時間的に無駄だと感じることは、可能な範囲で控えるようにしてきた。社員旅行を適当な理由をつけて欠席したり、会社の夜のイベントで多くの人が余興に興じる中で、眠いから誰にも言わず帰宅したりしてきた。
だから、人生の中で最も嫌いなことは、「並ぶ」ことである。数時間待ってまで食べる価値のあるラーメンなんて世の中に存在しないと思っているし、携帯電話やゲームの新機種なんて並ばなくたっていつかは買える。その背景には、人生で最も大切な資源は「時間」だという確固たる信念がある。
その信念の下で、今回の緊急事態宣言を捉えると、それは自分にとっては、「時間」という大切な資源を最大限に有効に活用できなかった機会損失ということになる。その意味でも、緊急事態宣言後の時間は、より一層大切に使わないといけないと考えている。そんな中で6月の休日に有楽町を通りかかると、宝くじ売り場の前に例のごとく長蛇の列ができていた。宝くじを買うことは否定しないが、どこで買っても当選確率は同じなのに、なぜ有楽町で時間を無為に費やして買う必要があるのか。これはあくまで個人的意見だが、緊急事態宣言でコロナの恐怖に怯えて家に籠りきりになった人で、かつ、宝くじ売り場に並ぶような人とは、決して一緒に時間を共有したくない。人間にとって大切な「時間」の価値がわかっていないからだ。
そして、時間の大切さがわかっていない人は、往々にして確率論が頭に入っていない。有楽町の宝くじ売り場で毎回1~2人大金が当たっているかもしれないが、その裏には数十万人の敗者がいるはずだ。また、都内のコロナ感染者が1日100人を超えてうろたえる人がいるが、そのペースが1年続いても感染者は36,500人、10年で36万5,000人、100年で365万人で、それでも東京の人口の1/4程度だが、100年経ったら今東京にいる人の99.9%は既に老化で死んでいる。しかも、密を避け、人と近寄るときはマスクをつけ、手洗い・殺菌に徹すれば、政府が緊急事態宣言をしようがしまいが、コロナに感染する確率を極小化できる。西浦某が述べている8割理論は、「マクロ理論」にすぎず、そんなものは、「ミクロの知恵」で撃退できる。こんな突っ込みどころ満載の意見に個々の人が日常生活で振り回されるのは、マクロ経済学の教科書を手本にしてミクロの企業を経営するほど馬鹿げたことだ。
いずれにしろ、結婚相手というのは、時間を共有する相手だ。確率論がわかっていない人は、時間を軽視しがちで、そのような時間の価値がわからない人と時間を共有することは、生きる中で最もナンセンスなことだ。この要素を重視するだけでも、結婚の失敗の可能性を何%かは削減できる。

大木 将充