No.0076

「働き方改革」の中で勝つヒントは「24時間働けますか」

イースターやハロウィンが日本人のイベントに盛り込まれる速度が呆れるほど早い。日本人は、順応しやすいと言われるが、これらは、「順応しやすい」を超えて「感化されやすい」というレベルではなかろうか。ハロウィンが終わると、すぐにクリスマス関連のCMが流れるが、個人的には、まだ2か月くらい先のイベントを急かされるようで、良い気分ではない。ましてや、毎年2月のイベントとして急速に流行りだした恵方巻を特定の方角を向いて一口で食べるなんていう行為は、バカバカし過ぎて付き合う気にもなれない。
そうした視点から、日本人の年間の主なイベントを見てみると、正月→バレンタイン→ひな祭り→花見→ホワイトデー→イースター→ゴールデンウィーク→夏休み→シルバーウィーク→ハロウィン→クリスマスと、6月を除くと毎月のように何か浮かれ騒ぎが起こる状況だ。私が中学生の頃、「日本全国酒飲音頭」が流行り、その毎月のように理由を作って酒を飲む姿を描いた歌詞に大笑いをしたものだが、その世界が現実化している。
加えて、1日の時間配分を見ても、働き方改革で労働時間が短縮され、余った時間をビジネスチャンスにすべく、ナイトタイムエコノミーなる言葉が、更に日本人を能天気にしようと画策している。
一方で、国の借金は1000兆円を超えてGDPの2倍水準に達し、世界の先進国の中では突出して借金が多い国となっている。個々人の将来の不安は全く減退することがなく、2000万円問題ということで、国民がせっせと貯蓄に励んでいる。高齢者には惜しみなく年金が払われる一方で、高齢者の構成比が高まることで日本全体の消費は減退し、経済が縮小するから、現役世代の年金は削られる方向性が是正されない。
以上を総合すると、日本は、国が異様に大きな借金を背負っている中で、毎月のように楽しいイベントを享受している国民が、労働時間を年々短縮させ、余暇の時間が年々拡大する中で、将来の不安を抱えながら生活している国のように見える。
こうした環境で成功するカギは、逆説的だが一生懸命に人一倍働くことにあるように私には思える。余暇を持て余しながら、将来の不安を抱え、毎月のように起こるイベントで気を紛らわし、65歳を過ぎても細々と働くような小さい生き方をするくらいなら、まずひたすら働けと言いたい。働き方改革を錦の御旗に、適当に働いて済ます人がきっと増えるはずだ。その中で一生懸命働くことは、過去と比較してもビジネスで成功するための重要な「差別化要因」になるはずだ。20代―40代で死ぬほど働こう。そして、65歳になったら、友達が嫌々働いている姿を尻目に、悠々と完全にリタイアしよう。他人と同じことをしていると「今の安心」は得られるが、「将来の安心」を失いかねない。

大木 将充