No.0086

新型肺炎に対する先月のアプローチへの反省と今後の見方

先月の「トピックス」で、私は、新型コロナウィルスに関し、
①米中摩擦との比較で影響は限定的、
②米国経済に与える影響が小さいと想定される、
と状況を整理した上で、株価が日経平均2万円割れはなく、「いつでもスタンス変更できる流動性を備えた上で、相応の強気スタンスで臨むべきだ」との考えを示した。
これについては、3月1週目の段階で株価は2万円割れをしておらず、米国経済への影響も現状では軽微という意味で、その見方は必ずしも間違っていなかったように見える。しかし、新型コロナウィルスが3月初旬の段階でまだ収束の兆しを見せていないどころか、懸念が拡大していることについては、見通しが外れたと言わざるをえない。それ以上に、世界的に政策が後手に回り、人災的様相を呈していることは、誤算であった。
今回のエピデミック・パンデミック的な状況は、私の先輩格の方々にとっても経験したことがない事象とのことで、どんなに周囲の方々の知恵を取り込もうと努力しても、それで対応できる状況ではなかった。その意味で、「わからなければポジションを落とす」という、王道の戦略を採るべきであったと反省している。
ただし、弱気一辺倒ではいけないとも考えている。新型コロナウィルスの発信源であり、2月に製造業PMI35.7、非製造業PMI29.6と惨憺たる経済状況を示した中国の株価は、年初来でほぼ横這いと、世界の株価を大きくアウトパフォームしている。また、3月1週目を終えた段階で、中国、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムの株価は上昇している。株価が大きく揺れ動いている米国もプラス圏を維持している。
私自身、どのようなポジションを採るべきか、正直なところ大いに迷っている。しかし、今回の暴落で、数少ない救いもあった。1~2年前との比較でポートフォリオの流動性を高めてあったので、ポジションを容易に拡縮できるようになっている点と、これまで株価が高すぎて買えない銘柄を仕込むことができた点だ。その意味では、2018年12月の暴落の時に、保有銘柄を売るに売れず、だから銘柄入替えが思うように進まなかった時との比較では、本ファンドの状況は、主観的にも客観的にも有意に良い状態にあると考えている。その意味で、年始の2か月に暴風雨に晒されはしたが、ファイティングスピリットは衰えていない。ある創業経営者が、「困ったときには気合と根性」と力説されていた。それを忘れないようにして、投資家の皆様に、有意なリターンをお返しできるように全力で頑張ります。

大木 将充