No.0117

2021年は「製造業見直し」元年=日本株大飛躍の年に!

様々なサービスが、「ソフトウェア+ハードウェア」の組み合わせで成り立っており、ハードウェアの重要性が高まっていることが、世の中では軽視されているような気がする。
最近は日本でも、アマゾンAWSやマイクロソフトアジュールなどのクラウドインフラの提供(サーバーワークスなど)や、そうしたクラウドの下で動く勤怠管理・ビジネスチャットなどのアプリケーション販売(RAKUMO、トヨクモなど)を行う会社が株式市場で強い存在感を放っている。こうしたクラウドやソフトウェアが実際に機能する原動力となっているのは、電気とデータセンターである。
そして、まず、電気について言えば、グローバルでのESG(環境・社会・ガバナンス)の流れで世界的な電力の不足や、電気料金の高騰が懸念される。これまで主流だった石油火力発電や石炭発電から、再生可能エネルギーや原子力の活用の方向性にシフトしているからだ。私は、このように脱炭素の理念ばかり進行して、脱炭素の世界をどう作り上げるかの各論が不足していることに、強い危惧を感じている。
いずれにしろ、そのような脱炭素の流れで再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電や風力発電が注目されているが、それらも、太陽光を受けるパネルや、風を受ける風車などのハードがなければ動かない。また、クラウドの基盤であるデータセンターを動かしているのもGPUやCPUといった半導体でこれもハードである。ちなみに、現在の世界の電力消費量の3-5%程度がデータセンターと言われているが、これが数年後には10%程度まで上がる可能性が喧伝されている。このように、クラウドや、その下で動く各種ソフトウェアの根幹を支えているのは、電力を生産するハードだということになる。
また、ガソリン車に代わって電気自動車が今後の自動車業界の中枢を占めることが確実であるが、バスやトラックなどは電気では十分な力が発揮できないことから、水素自動車が急速に注目を集めるようになっている。そこでは、水素の生産・貯蔵・運搬といった一貫した機能を提供できるという意味で川崎重工や岩谷産業の注目度合いが株式市場で急速に高まっている。また、鉄の代表的な生産設備である高炉がCO2を排出することの懸念を背景に、三菱重工の水素製鉄技術がクローズアップされている。同社は、水素発電にも注力している。
このように考えていくと、新しい世界が切り開かれている中で、ハードを製造する力、言い換えると「モノづくり」の重要性が見直される可能性が高まっている。これまでは、ソフト全盛と、それを前提としたSAA(クラウドサービスの形態の一つ)やサブスク(subscriptionの略。製品やサービスなどの一定期間の利用に対して、代金を支払う方式)の流れ、更にはプラットフォーム構築の動きの強まりで、GAFAM(Google(グーグル)Amazon(アマゾン)Facebook(フェイスブック)Apple(アップル)Microsoft(マイクロソフト))を中心とする米国企業が世界経済の中心になった。しかし、これからは、環境重視、脱炭素といった流れが強まり、それを解決する手段としてのハードの重要性が急速に高まると予想される。そうなると、これまではソフト全盛の流れの中で蚊帳の外にあった日本企業が、世界の中心へと名乗りを挙げる構図も予想可能だ。そうなると、それは80年代後半以降のバブル経済以来、30数年ぶりのこととなる。
このように、2021年は、30数年ぶりの株価高値と30数年ぶりの日本企業台頭につながる元年になる予感がする。昨年11月以降の資産価格上昇は、端的に言えば、ドルと債券以外の資産は何でも上昇した。ここからは、明確に日本企業が投資のターゲットとなり、世界の資産市場の中で日本株が有意に上昇する可能性が遂に見えてきた。
日本株は、ここからスタートだ。

大木 将充