No.131

日本株の強さは不変と見る…ネガティブ材料が続出でも日経平均29,000円前後を維持

私は今年の日経平均株価の高値を35,000円と予想していた。一方で、4月以降の日本株は、振るわない状況が続いている。結論から申し上げると、今でも35,000円という見通しは変えていない。
今年も約5か月が経過して、年始からの状況を振り返ると、毎月のようにネガティブ材料が出現する厳しい展開になっている。
1月のロビンフッド騒動から始まり、2月は米国の金利上昇、3月は米投資会社アルケゴス問題と、日本における年金売り・政策投資株売り、4月は日米年金による日本株売りと、日本でのコロナワクチン接種遅れ、米国のインフレ懸念、5月は米国での消費者物価上昇率急騰、ハイテク株下落、MSCI指数の銘柄入れ替えによる日本株売り。5月は、株価急落でも日銀のETF買いがないという試練も加わった。
以上の要因の中で、米国の金利上昇・インフレ率上昇と、3月の年金売り・政策投資株売りは想定していたが、それ以外は予想していない事象であった。また、ネガティブ材料は溢れていたのに、これといった予想外のポジティブ材料は現れていない。
こんな状況なので、私の年始のイメージからすれば、今頃は30,000~31,000円くらいに届いていてもおかしくなかったのが、実際は29,000円前後に止まっている。しかし、裏を返せば、これだけの悪条件が揃っても、株価は昨年末の27,444円よりは有意に高い水準にあるのだ。
私が基本線として年始から描いていた、金融当局の金融緩和方針維持、コロナウイルス問題からの経済回復、製造業を中心とする日本企業の好調な業績、といった運用の前提条件はいささかも崩れていない。したがって、年始の強気見通しを変える必要はないと考えている。
ちなみに、今は、五輪への反対意見が強く見られたり、コロナウイルス問題の長期化で暗い世の中が続いていたりするが、コロナワクチン接種の進展で2~3か月後の日本社会のムードは大きく改善していると予想している。東京五輪も結局は開催されると見ているが、その場合には、いま五輪反対を主張している人たちの多くが、テレビにかじりついて日本選手を応援している姿が目に浮かぶ。
要は、日本人の気質は、戦前と何ら変わっていない。人の目を過度に意識し、マスメディアの報道に毒されて思考停止に陥っている。だから、ムードが良くなれば、一気にタガが外れて、能天気度合いが信じられないほどに増幅されるであろう。私は、そのイメージ図に基づいて、現在のポートフォリオを組んでいる。

大木 将充